お米 is ライス

C#やらUnityやらを勉強していて、これはメモっといたほうがええやろ、ということを書くつもりです

【日本巫女史】総論 第一章 第一節 巫女の種類とその名称

初めに

日本巫女史とは、1930年に刊行された日本の巫女に関する様々な民俗学的事項をまとめた書籍です。

すでに著作権は切れており、幸いにも篤志の手によってインターネット上に内容が公開されています。

著者は中山太郎
詳細は省きますが、民俗学の大家である柳田國男の門下生です。

この日本巫女史、非常に内容が素晴らしいというのはよく聞ききますが、
暴力的にすら思える分量にしり込みしてこれまできちんと読めたことがありません。

また何度目かの挑戦をしたいと思うんですが、どうせまた中途半端になるのは目に見えているので、
内容をまとめることで栞代わりにしようと思います。

とはいえ、全部を全部まとめるとそれはそれで大変なので、
一部のみ、簡単にまとめることとします。

というわけで、やっていきます。


総論 第一章 第一節 巫女の種類とその名称

この節では巫女の分類を行っている。

まず大きな分類として、「神和系の神子」と「口寄系の巫女」に分類される。

「神和系の神子」は神社などに属し、一定の支給を受けて奉仕する公的な存在、

「口寄系の巫女」は地方に土着し、都度報酬を得て呪術を行うような存在。

この2つは役割や呼称によってさらに細かく分類される

神和系の神子

まず「神和系の神子」に属する名称について。

「神子」とは読んで字のごとく、「神の子」というような意味を持った名称。

ミコとはそもそも「神そのもの」を指すような言葉であったのが、
時代が変わり、神と人との仲立ちをするような存在になったのがこの呼称である。

斎宮

皇族の女性が代々任命され、伊勢神宮天照大神に奉斎するのが斎宮

「斎院」

斎宮と同じように皇族の女性が代々任命され、京都の賀茂社に奉斎する女性のことを言う。

「阿礼乎止売」

斎院の別名であり、”アレ”とは産出を言葉だと考えられる。

「御巫」

”カムコ”、すなわち神の子を意味する語。

「巫覡」

「神を和むる」という意味で、神社に奉仕する巫女を通称した言葉。

他に「キネ」「姉子」「古曾」「物忌」「斎子」など、神社ごと、役割ごとに様々な呼称がある。

口寄系の巫女

次に「口寄系の巫女」に属する名称について。
巫女の呼称というのは、

一、呪術の作法からくるもの。
二、呪術の器具からくるもの。
三、巫女の風俗からくるもの。

というようにいくつかある。

「市子」「インヂコ」「イチイ」「イチジョウ」

語源は諸説あり、
一つ目は、「斎子」が転訛した語であるとする説。
二つ目に、口寄系の巫女が市場に出て呪術を行ったことからくるという説。

著者はこれに加えて、琉球語で呪詛する人を表す”イチジャマ”という語に注目し、
”イチ”という語が呪詛の意味を持つとして、それに関連する語である説を唱えている。

「イタコ」

紀州熊野で神子を”イタ”と呼んだ記録があり、それに関連する語と推測されてる。
アイヌ語の転訛説もある。

「座下し」

「七くらおろし」という呪術に由来する言葉。
クラは回数を意味している。

「県語り」

京に対する田舎という意味での「県」。
田舎にいる巫女という意味。

「笹帚き」

巫女が呪術を行うときに、両手に笹の枝をもって自分の顔を帚くという作法に由来する呼称。

「大弓」

弓を左手に持ち、右手に持った竹の棒で弦を叩きながら呪術を行うことから、
使用している器具に由来する呼称。

「梓巫女」

梓で作った弓を呪術の器具として使用することに由来する呼称。

「口寄せ」

生口、死口、神口を呪術で引き寄せるということに由来する呼称。
詳細は後述とのことだが、生者や死者、神の言葉を代わりに口にするという意味かと。

「飯綱」

飯綱権現を主神とする巫女の一派があったことからこの呼称が生まれたと考えられる。

「コンガラサマ」

巫女がぐるぐると人家を周るという風俗に由来する呼称。

「刀自話」

「刀自」は老女の意味。
老女が巫女を営んでいたことからくる呼称。

「ユタ」

琉球に島々における巫女の呼称。
預言者という意味であると言われている。

口寄系の巫女の呼称は他にもさまざまあるが省略。